レッドウィングブーツの「製造年代」を知りたいと思ったことはありませんか?
実は、レッドウィングのブーツに刻まれた「タグ」や「刻印」には、製造年を見分けるための手がかりがしっかりと詰まっています。
この記事では、ブランド古着のプロが、タグ・刻印・仕様変更などから正確に年代を読み解く方法をわかりやすく解説します!
お手持ちのレッドウィングが「何年に作られたのか?」を知ることで、その背景やモデルの価値、ヴィンテージとしての魅力まで理解が深まり、より一層愛着を持って履き続けられるはずです。
「なぜ年代を知る必要があるのか?」という素朴な疑問にも触れながら、コレクターにも査定担当者にも役立つ情報を余すことなくお届けします!

レッドウィングは年代によって細部のディテールや製法、使用されている革の質などが異なり、ヴィンテージ市場ではその違いが価値に直結します。
特に80年代以前の「犬タグ」や「PT83タグ」などは、マニアから高く評価され、買取相場にも大きく影響します。
私たち買取バイヤーは、単なる「型番」だけでなく、「製造年代」や「当時の背景」まで踏まえて査定しています。
だからこそ、持っているレッドウィングがいつ頃作られたものなのかを知ることは、売るときにも、保管・着用する際にも非常に大きな意味を持つのです!
はじめに:レッドウィングの年代判別について
レッドウィングの製造年代を見極めるうえで、最も確実な手がかりとなるのが「タグのデザインと表記」です。年代ごとにタグの仕様は細かく変更されており、見るべきポイントを押さえれば、おおよその製造年を高い精度で特定することができます。
たとえば、60〜70年代に見られる「羽タグ」や80年代に登場した「犬タグ」、90年代以降の「白タグ」や「プリントタグ」など視覚的にわかりやすい違いがあるため、初心者でも比較的判断しやすいのが特徴です。
はじめに代表的なタグの実物写真とともに、それぞれの登場年代や識別のポイント、注意すべき類似デザインなどを詳しく解説していきます。
『タグを見るだけで、そのブーツの歴史が見えてくる』そんな面白さをぜひ体感してみてください!
レッドウィング年代判別の手順
参考文章(最も重要なのは「タグ」であること、次いで「刻印」や「ディテール」も確認することを簡潔に説明
判別の為に見るべき箇所を手順毎にボックス機能などを使用し分かり易く解説
レッドウィングの製造年代を特定する際、最も重視すべきは「タグの種類と表記」です。タグのデザインや印字内容には、その時代特有の特徴が色濃く現れています。
ただし、タグだけで確定できない場合もあるため、「刻印」や「ディテール(ステッチやソール形状など)」もあわせて確認すると、より正確な判別が可能です。

1.タグを確認する
- タグの「種類(縫い付け・プリント・素材)」をチェック
- 表記されている「MADE IN USA」や「STYLE NO.」の位置・フォントにも注目

2.刻印を見る
- インソールやシャフト内側にある刻印を確認
- 製造年月が「数字+アルファベット」で表記されていることも(例:03 05=2003年5月製)

3.ディテールを確認
- ステッチの色・数、レザーの質感、ヒール形状など
- 年代によって明確な仕様変更があるため、比較資料と照合すると効果的

タグや刻印が消えていても、諦めないでください。実はソールの種類やミッドソールの厚み、アイレットの数と配置にも年代の手がかりが潜んでいます。
ひとつひとつ丁寧に見ていけば、おおよその時代は必ず絞れます!
年代判別の魅力とは?
レッドウィングのブーツは、100年以上にわたる歴史の中でその時代ごとの技術やニーズを反映しながら進化してきました。使用される革の質感や製法、ディテールの設計などは年代によって大きく異なり、それぞれに唯一無二の個性があります。
年代を判別することは、単に「いつ作られたか」を知るだけでなく、そのブーツがどんな時代背景の中で生まれたのかを知るロマンでもあります。例えば、戦後の堅牢なつくりのモデルや80年代のファッション性を意識した改良型など、履くだけで当時の空気を感じ取ることができます。
さらに、ヴィンテージ市場では製造年代によって希少価値や価格が大きく変動するため、正確な年代特定は中古取引やコレクション管理のうえでも極めて重要です。ファッションアイテムとしての深みが増すだけでなく、資産価値としての一面も持ち合わせているのが、レッドウィングの魅力なのです!

レッドウィングの年代を知ることで、そのブーツに込められた『時代の思想』が見えてきます。
革質の変化、製法の進化、タグひとつとっても意味があるんです。履くこと自体が、その歴史を引き継ぐ行為とも言えますね。
レッドウィング買取サービス
レッドウィング年代判別の最重要ポイント:タグの変遷を追う!
レッドウィングの製造年代を見極めるうえで、最も確実な手がかりとなるのが「タグのデザインと表記」です。年代ごとにタグの仕様は細かく変更されており、見るべきポイントを押さえれば、おおよその製造年を高い精度で特定することができます。
たとえば、60〜70年代に見られる「羽タグ」や、80年代に登場した「犬タグ」、90年代以降の「白タグ」や「プリントタグ」など、視覚的にわかりやすい違いがあるため、初心者でも比較的判断しやすいのが特徴です。
このセクションでは、代表的なタグの実物写真とともに、それぞれの登場年代や識別のポイント、注意すべき類似デザインなどを詳しく解説していきます。
01刺繍羽タグ (例: 50年代~60年代初頭)

50年代〜60年代初頭にかけて生産されていた通称「紺タグ」。これ以前に生産されていたモデル(通称ハンティングタグ)の表記は「REDWING BOOTS」でしたが、紺タグより「REDWING SHOES」の表記へ変わりました。この頃は生産国の表記がありませんでした。70年以上前のモデルですので、コンディションの良いアイテムは高い価値があります。
02プリント羽タグ (例: 60年代~70年代)

60年代前半にはプリントタグが採用されております。この頃のタグも、まだ生産国の表記がないのが特徴となっております。以前までは刺繍によってタグを表記していましたが、この頃より生産数も上がりブーツのヴァリエーションも増えた頃から、プリントを採用したと言われております。
03プリント羽タグ (原産国が入る:1970年代〜)

1970年代に入ると原産国の表記が入ります。アイリッシュセッターの犬タグには『MADE IN AMERICA』 表記が、羽タグには『MADE IN USA』と記載が入り若干フォントも異なります。これは、アメリカ国外への輸出も増えたことがキッカケと言われております。日本国内でもこの時代から流通数が増えた傾向にあります。
04刺繍羽タグ (正方形 / 四角犬タグ:1990年代〜)

羽タグはプリントから刺繍に変更され、タグの形も正方形です。こちらは1996年代頃のモデルから採用されております。日本国内でのこの頃のモデルの流通数が一気に上昇しました。きっかけは、第一次アメカジブームが影響されていると見られております。また、90年代初頭の犬タグはプリントとなっており、表記が『MADE IN U.S.A』との表記に変更となっております。
・犬なし: 初期の刺繍タグ。
・犬あり (犬タグ): タン裏に犬の刻印が入るモデルも。
05半円犬タグ(1990年〜)

アイリッシュセッターラインで主に使用されていました。1990年代頃より四角形犬タグより半円犬タグへ変更されました。タグの上部が半円形になり、犬のイラストがプリントまたは刺繍されています。初期はベロの内側へ施されておりましたが、右足のベロ外へ打ち込められた時代もありました。現在は廃止となっておりますが、BEMS別注などで復刻されております。初期モデルは『RED WING SHOE CO』と『MADE IN U.S.A.』表記、時代によって表記が変更されております。

1990年(裏半円犬タグ)
半円犬タグ初期。1年のみしか生産されていないので、希少性が高くなっております。レッドマイク君(犬の名前)が赤く面長、クリーム色の背景が特徴となっております。

1991年(裏半円犬タグ)
90年代の犬タグに比べると背景は黄色味がかかり、犬の刺繍も茶色となっております。こちらも90年生産同様、1年のみの生産となります。この頃までベロの裏についていたモデルが主流となります。

1992年頃(半円犬タグ)
この頃より、ベロ裏だったタグが、右ベロ側に設置されます。「RED WHIG SHOES CO.」の表記がなくなります。背景の黄色も若干濃くなり、黄土色に近い色となっております。当時は不評の声が多かったのですが、現在は当時のディティールを感じられることで人気があります。

1993年頃(半円犬タグ)
「MADE IN U.S.A.」の表記もなくなってしまいます。

1994年頃(四角犬タグ)
1994年に入ると四角犬タグも復活します。四角犬タグファン待望のモデルとして、人気が急上しました。「MADE IN U.S.A.」の表記が右上にあるのが特徴であります。

1994年〜1996年頃(半円犬タグ)
「MADE IN U.S.A.」の表記が復活し、96年後半頃に犬刻印へ変更されるまでの間、こちらのタグとベロ部分には品番や製造番号、年代によってはアンクル部分に製造年や工場番号の刻印が施されております。
06近年刺繍タグ

現在は刺繍タグとなっており、アイリッシュセッターも羽タグが採用されております。『MADE IN USA』の文字が比較的下部に配置されている。モデルから品番、さらに製造年月も表記されていることが特徴です。モデルによっては犬タグもベロ内側に施されております。

「羽根タグ」は基本的にワークブーツ、「犬タグ」はアイリッシュセッターに付属されております。
販売されていた時期やモデルによってはアイリッシュセッターにも羽根タグが使われていたモデルも存在します。
そのことを追求するとレッドウィングの生産時期や歴史が深掘りできるので、楽しさが生まれます。
レッドウィング タグの変遷 年表
続いては、年代ごとに使われていた代表的なタグを一覧形式で整理し、「いつ」「どんなタグが使われていたか」を一目で確認できるよう、年表形式でご紹介します。
自分のレッドウィングのタグと照らし合わせながら、製造時期を特定するヒントとして活用してみてください。
おおよその年代 | タグの名称 / 通称 | 主な特徴 | 補足 / 代表的なモデル例 |
---|---|---|---|
~1950年代中期 | 初期刺繍タグ | 『RED WING SHOES』の文字がメイン。シンプルなデザイン。布製または革製。 | 特定のワークブーツなど |
1950年代後半 ~ 1960年代初頭 | プリント羽タグ (茶色 / 緑色) | 羽根ロゴがプリントで描かれている。 ・緑タグ: 『Irish Setter SPORT BOOT』 表記。 ・茶タグ: 『RED WING SHOES』表記。 | 初期のアイリッシュセッター (877など) |
1960年代 ~ 1970年代 | プリント羽タグ | 犬タグには『MADE IN AMERICA』、羽タグには『MADE IN USA』の表記。 | アイリッシュセッター、その他ワークブーツ |
1980年代初頭 ~ 1990年代中期 | 刺繍羽タグ (正方形 / 四角犬タグ) | タグの形状が正方形に近くなる。アイリッシュセッターも『MADE IN USA』表記に変更。®マークが羽根ロゴの右横(Rの位置で細分化も可能)。 ・犬なし: 初期の刺繍タグ。 ・犬あり (犬タグ): タン裏に犬の刻印が入るモデルも。 | アイリッシュセッター、ペコス (8166など) |
1990年代中期 ~ 1990年代後半 | 半円犬タグ | タグの上部が半円形になり、犬のイラストがプリントまたは刺繍されている。『MADE IN USA』 表記。アイリッシュセッターラインで主に使用された。 | アイリッシュセッター (875, 8179など) |
1990年代後半 ~ 2000年代初頭 | 現行に近い刺繍タグ (USA表記下寄り) | 長方形の刺繍タグに戻る。羽根ロゴのみ(犬なし)。 『MADE IN USA』の文字が比較的下部に配置されている。 | 多くのモデル |
2000年代初頭 ~ 現在 | 現行刺繍タグ (USA表記中央寄り) | 基本デザインは前期と類似。長方形の刺繍タグで羽根ロゴのみ。 『MADE IN USA』 の文字が中央寄りにバランス良く配置されている。 | 多くの現行モデル |
この年表は、レッドウィングの年代判別における重要な手がかりの一つとなります。お手持ちのブーツのタグと照らし合わせて、製造された時代を推測するのに役立ててください。

タグを見れば、ブーツの『生まれ年』がかなりの精度でわかります。
周年記念モデルや別注、限定モデルなどは特別なタグが使用されることもあります。
特に犬タグや旧羽タグなどは中古市場でも人気が高く、タグの種類によって買取価格に1万円以上差がつくケースも珍しくありません。
売却やコレクションの価値判断にも、タグの見極めは欠かせないポイントです。
タグ以外の手がかり:刻印・スタンプで年代を特定
レッドウィングの年代判別では「タグ」が主な手がかりとなりますが、実はそれ以外にも重要な情報源があります。それが、ブーツの内側やタン裏に刻まれている「スタンプ(刻印)」です。
一見するとただの記号やナンバーに見えるこの刻印には、製造年月や工場コードなど、モデルの履歴を読み解くためのヒントが詰まっています。タグが消えてしまっていてもこの刻印情報が残っていれば、おおよその製造年を推定できる場合も少なくありません。
続いては、刻印やスタンプの見方を具体的に解説し、タグ情報と合わせて正確に年代を特定する方法をご紹介します。
ブーツ内側の刻印・スタンプの意味とは?

レッドウィングブーツの内側――とくにタン裏やシャフト内側には、アルファベットと数字の組み合わせからなるスタンプ(刻印)が押されていることがあります。レッドウィング 96年製 877 アイリッシュセッターを基に以下の情報を解説いたします。

①製造年月
こちらのモデルは『N6』と記載があり、96年8月製と伺えます。アルファベット(このモデルは『N』)は製造月、1月を『F』から始まり、12月を『T』で締めます※1。隣の『6』という数字は製造年を表し、この表記の刻印のモデルは『96年製』と判断できます。

②工場コード
P1,2,8の記載は工場のコード※2となります。Pはプラントを意味し、主に出回っているのがこちらの3つプラントとなります。

③製造年
プラント記載の下にある数字は製造された年を示します。こちらは『96』との記載があるので、96年製ということが判断できます。

④サイズ・ウィズ
このモデルに表記されている『7D』。こちらは7はサイズ(日本でいうと25cmにあたります)Dは足の幅の指標、この場合はミディアムに値します。
※1‥アルファベット表記 『F』1月、『G』2月、『H』3月、『J』4月、『K』5月、『L』6月、『M』7月、『N』8月、『P』9月、『R』10月、『S』11月、『T』12月
※2..『P1』創業当時から2005年ほどまで稼働していたメインプラント。現在は生産稼働はしておらず、2008年頃より商品開発や修理などを行なっております。
『P2』1964年から製造が開始されメインモデルを中心に生産するプラントです。日本の代表的なモデルはP2が多くなっており、日本で出回っているモデルほとんどがP2で生産されております。
『P8』1990年代から2000年代にかけて稼働しており、ベーシックなモデルの生産が中心となっております。日本正規品は2008年に生産が終了しています。
年代やロットによって刻印の位置や表記形式にばらつきがあるため、複数の情報を組み合わせて総合的に判断するのがコツです。

タグが摩耗して読めなくなっていても、タン裏の刻印が残っていれば諦める必要はありません。
そこに書かれた『たった4桁の数字』が、そのブーツの製造時期を正確に物語ってくれます。
タグと刻印、両方からアプローチするのが、真の年代判別の近道です。
代表的な刻印の種類と年代
レッドウィングブーツの年代をより正確に特定するためには、「刻印の種類とデザイン」にも注目することが大切です。刻印には時代ごとの特徴があり、代表的なものとして「犬刻印」「ANSI規格刻印」「PT表記」「フォントの変化」などがあります。
以下に、年代別に見られる代表的な刻印の種類とその特徴を、写真付きでわかりやすく解説します。

・犬刻印
1996年〜1999年にかけて生産されていたアイリッシュセッターは、正方形の緑タグの代わりに犬の刻印(犬刻印)が施されておりました。この頃アイリッシュセッターは、ブランドとして独立していた時期でもあり、休止するまでの期間はこの刻印が施されております。
(この時代にレッドウィングからは「クラシックワーク」と言う名で生産されておりました。)
また、この時期に見られる特徴として877、875、866などのオロラセット(赤みがかった茶色の革)のモデルがフルモデルチェンジしており、 オロイジナル(黄色みがかかり、オイルが多めに入っている)へ変更となりました。当時日本での人気は薄く、現在では探されている方が多いモデルでもありますので希少性が高くなっております。

・ANSI規格刻印
「ANSI(American National Standards Institute)」こちらはスティールトゥの先芯、安全靴のスティールトゥの規格を指します。日本で販売されていたモデルにはこちらが記載されております。
2006年より、「ASTM(American Society for Testing and Materials)」へ名称が変更となりましたが、ANSI表記と同じ基準を持ちますので、クオリティの変更はありません。
2012年にASTMのスチールトゥの規格が変更されたことに伴い、世界中の安全靴のスチールトゥ設計が変更となりましたが、レッドウィング自体、ASTMに沿った変更は行わなかっとことから、商品タグへの表示がなくなりました。
スチールトゥの規格が変更となったことより、レッドウィングのアイテム自体デザインの変更を行わなければいけなくことであえて入れないという選択をしたとのことです。
ですが、レッドウィング自体のクオリティは変わらず、スチールトゥの規格に合わせてしまうとデザインに影響されてしまうこともあるので、現在の新作モデルはASTMやPTの表記が見られないと言うことになります。

・PT表記
PTは『Protective Toe』の略で、足の指を保護する保護具を指します。
PT83=1983年施行基準、PT91=1991年改訂基準、PT99=1999年改訂基準に準拠していたモデルとなります。
〜1982年頃まで......スティールトゥ入りのモデルは「ANSI」の文字が記載されています。
〜1990年頃まで......筒の内側などに「ANSI」と「PT83」などのが印字されております。
〜1992年頃まで......革の刻印からタグへと記載が変更され、「ANSI」と「PT83」入ります。
〜2000年頃まで......タグへ「ANSI」と「PT91」が記載されております。
〜2006年頃まで......タグへ「ANSI」と「PT99」が記載されております。
2006年頃から2012年頃までは「PT」の記載がなくなり、「ASTM」のみの記載となります。
これらの刻印は、ブーツの内側やタン裏に刻まれていることが多く、タグが欠損していても年代の手がかりとして非常に有効です。比較写真と照らし合わせることで、見分けやすくなります。

刻印の違いは一見わかりづらいですが、慣れてくると『あ、これはPT91だから90年代前半だな』といった見分けができるようになります。
タグ・刻印・仕様、三位一体で見ることで、レッドウィングの【真の履歴書】が読み解けるんです
ディテールに注目!ソール・ステッチ・金具の変化
レッドウィングの年代を特定するには、「タグ」や「刻印」だけでなく、ブーツの構造そのものに現れるディテールも重要なヒントとなります。特に、ソールやステッチの仕様、アイレット(ハトメ)などの金具パーツは、時代ごとに明確な変化があるため、年代判別に大きく役立ちます。
代表的なディテールの変化を、視覚的に比較しながら解説いたします。細かな違いに注目することで、自分のレッドウィングが「いつ、どんな背景で生まれたブーツなのか」をより深く知ることができます!
ソールの種類と年代
レッドウィングでは、時代ごとにさまざまな種類のソールが採用されており、それぞれの形状や素材、ロゴ表記から製造年代をある程度推測することが可能です。

トラクショントレッドソール
1958年にアイリッシュセッターに採用され、以降高いクッション性、アーチのサポート、軽量性を持ち土踏まずが無いため快適な歩行が可能となったレッドウィング社を代表するソール。1997年頃にマイナーチェンジされ、古いモデルは「RED WING」の刻印が深く、ソールパターンがやや異なります。
クラッシックモックやエンジニア、ペコスローバーなどに採用されております。

コルクソール
「ニトリル・コルク・ソール」。高い耐油性を持つため、油田地帯などで働くワーカーに評価されているソールです。1960〜70年代頃に展開されていたモデルは、レザーソールとの組み合わせで堅牢なつくりが主流でした。古いモデルであればあるほど、コルク片(ソール内に混ざっているプツプツした細かなもの)が多いと言われております。
アイアンレンジやペコス・ローバーに採用されております。

Vibram(ビブラム)ソール
レッドウィングでは1961年に初めて「899」に採用されました。
以降もレッドウィングのソールでは欠かせないビブラム社のソールは、ラインマンなどに使用される「ビブラムラグソール」と、ロガーブーツなどに使用される「ビブラムロガーソール」の2種類あります。

60年代〜60年代後半
1961年にビブラムソールの採用が始まったので、初のビブラムソールのロゴは3段階での表記となっております。
「Vibram」以外に特許取得済みと言う意味を持つ「brevettata」、ワークブーツでありますので「montagna(山)」と言う表記となっております。

69年〜70年代
ビブラム社のアイコニックな黄色ロゴがこの頃に登場しました。これはビブラム社の「マルカ・オロ」(ゴールデン・ブランド)を強調します。この頃の表記も3段階となっております。

70年代以降
70年代以降ビブラム社のロゴは現在でも見慣れたロゴへ変更なります。初期は若干丸みを帯びたフォントと8角形となっております。

現行モデル
現行に流通しているビブラムソールのロゴはフォントも細身で角ばった8角形が特徴的です。
ヴィンテージモデルでもカスタムやソールの交換などで、現行モデルのロゴが落とし込まれているとこともあります。3段階表記のロゴは、現在生産されていないので美品アイテムは価値が高くなっております。

ソールは経年劣化やリペアによって交換されることも多いため、「オリジナルかどうか」も見極めるポイントのひとつです。
写真やカタログ資料と見比べながら確認すると、年代特定の精度が高まります。
特にビブラムソールやスーパーソールは時期によってデザインが違うので、慣れてくると見分けるのが楽しくなってきます。
ステッチワークの違い
レッドウィングのブーツは、その頑丈なつくりと美しい縫製でも高く評価されていますが、ステッチワークにも年代ごとの微妙な違いがあるのをご存じでしょうか?
とくに注目すべきは以下のポイントです。

ウェルトステッチの色と太さ
1980年代まではナチュラル系の生成り糸が主流でしたが、1990年代以降は白やグレー系の明るいステッチが多くなります。太さや糸の撚りにも微妙な差が見られます。
ステッチピッチ(縫い幅)の違い
古いモデルほどピッチがやや粗く、ハンドクラフト感のある仕上がりとなっております。現行品は均一で機械的な美しさが特徴です。ピッチの幅が狭い=近年モデルの傾向があります。

アッパーの縫製パターン
つま先・かかとの補強ステッチ、スクエアステッチの入り方、羽根部分の縫いの角度などにも年代ごとの「型」があり、モデルや時期を知るヒントになります。
グッドイヤーウェルト製法の進化
基本構造は変わらないものの、接着剤の使用やウェルトの厚み・形状なども時代とともに変化。ヴィンテージ品は、手縫い感の強いクラフト色が色濃く残っています。

こうした縫製の細部に注目することで、同じモデルでもどの年代のロットかを見分けるヒントになります。
タグやソールと併せて観察することで、より正確な判別が可能になります。
古いモデルほど、縫い目に味があります。現行品と比べると、少し不揃いなステッチや太めの糸に、当時の手作業の温もりを感じます。
見慣れてくると、タグより先にステッチで『あ、これは80年代っぽいな』とピンとくることもあります。
アイレット(ハトメ)・フックの形状
アイレット(ハトメ)の素材
見た目での判断が難しいパーツですが90年代まではベックマン、875、877等は真鍮が使われていた様です。現行は875にニッケルが使われている事からこの点において製造時期を確認するポイントになります。
フックの素材
こちらも使用されているモデルが少ない点と、見た目での判断が難しいパーツですがアイレット同様に90年代後半にはそれまでと違う素材が使われていた様です。

アイレットやフック部分に緑青(ろくしょう)と呼ばれる金属に発生する青緑色の錆が発生するケースが多くありますが、その緑青の種類によっても使用されている素材を見分ける事ができるケースが有ります。
ニッケル製ならドライタイプと呼ばれる乾いた緑青が発生し、真鍮製はウェットタイプで粘りが感じられる質感でニッケル製に比べ発生する量も多いと言われています。
厄介でメンテナンスに困る緑青ですが年代判別の際の判断材料になると言うのは面白い話です。
【モデル別】年代判別のポイント:特にアイリッシュセッターは要チェック!
レッドウィングの中でも、ひときわ高い人気と知名度を誇るモデルが「アイリッシュセッター」です
モデル番号875や877を筆頭に、長年愛され続けているこのシリーズは、製造年代によって仕様が大きく異なるため、ヴィンテージブーツとしての価値を判断する上でも特に注目すべき存在です。
続いては、アイリッシュセッターをはじめとした主要モデルに絞り、年代判別に役立つディテールや見分け方のコツを詳しく紹介していきます。
特にタグや刻印、ステッチワークなどの微細な違いに注目することで、精度の高い年代特定が可能になります。
不動の人気!アイリッシュセッター (875, 877など) の年代判別

レッドウィングの代名詞とも言えるアイリッシュセッター。875(6インチ丈)や877(8インチ丈)を中心に、1950年代から生産が続くロングセラーモデルです。人気モデルゆえに流通量も多く、細かなディテールの違いから年代を読み解くことが求められます。

・タグの種類と縫い付け位置
アイリッシュセッターは年代によって四角犬タグ、半円犬タグ、犬刻印と異なります。
1960〜70年代の「プリント羽タグ」や「白地タグ」は希少性が高く、状態が良ければ高価買取の対象に。80年代以降は刺繍タグへ移行し、細かなデザインの違いで年代を特定可能となっております。犬刻印時代の875、877はタグがありませんでした。

・タン裏・シャフト内側の刻印
製造年と工場番号を示す2桁または4桁のコード、アルファベットの意味なども見逃せません。刻印のスタイル自体も年代ごとに変化しています。

・ディテールの変遷
犬刻印内で説明した通り、犬刻印に入ってからディティールに変化が見られます。90年代前半はオロラセット、犬刻印となってからはオロイジナルとレザーの色の変化が見れます。また、初期モデルではレザーソールやネイルダウン仕様、1970年代以降はトラクショントレッドソールが主流に。Vibramソールや交換ソールの使用は年代特定の際に注意が必要です。

・スクエアステッチ(箱型ステッチ)の有無
ステッチワークでも解説したつま先のモックトゥ部分に見られるスクエア状の縫製(通称:箱型ステッチ)は、1950年代〜1970年代前半のヴィンテージ875に特徴的な仕様です。これがあるかどうかで一気に判断材料になります。
アイリッシュセッターについては、「【プロ解説】レッドウィング「アイリッシュセッター」ブーツの魅力と歴史が5分で分かる!」でもご紹介いたしておりますので、こちらも合わせてご覧くださいませ。
その他の人気モデル (ベックマン、エンジニアなど) の判別ポイント

レッドウィングの中でも、「アイリッシュセッター」に並んで人気の高いモデルに「ベックマン」や「エンジニアブーツ」があります。これらのモデルについても、年代による細かな仕様の違いを知ることで、より深い魅力を感じることができます。
ベックマン(9011など)は、2000年代半ばに登場した比較的新しいモデルですが、製造時期によってレザーの質感(フェザーストーンの艶感)やアウトソールのロゴ表記、タグのデザインが微妙に異なります。現行モデルと初期ロットを見分けるポイントとして活用できます。
エンジニアブーツは長年ラインナップされており、シャフトの高さやストラップの形状、刻印のスタイル(犬刻印・PT83・PT91など)の違いが、判別のヒントとなります。
古いモデルはトゥ形状が細身で、甲が低いことが多く、全体のシルエットでも見分けが可能です。

アイリッシュセッターシリーズはリニューアルや復刻も頻繁に行われているため、タグやソールが似ていても実は現行復刻版だったというケースもあります。
タグ・刻印・縫製など、複数の要素を組み合わせて慎重に判断しましょう。
また、ベックマンやエンジニアは『通好み』なモデルだからこそ、細かな仕様の違いに気づけると査定にも差が出ます。
状態が同じでも、初期モデルや希少刻印入りなら、相場以上の価格がつくこともありますよ!
よくある質問(FAQ)
- Qレッドウィングの年代判別で一番重要な「タグ」は、どのように見分ければ良いですか?
- A
タグの年代を見分けるポイントは主に以下の点です。
デザイン: 羽根ロゴの有無や形状(プリントか刺繍か)、犬のイラストの有無(通称:犬タグ)、タグ全体の形状(縦長、正方形、半円など)。
表記: 『MADE IN AMERICA』 か 『MADE IN USA』 か、®マークの位置、フォントの種類など。 代表的なものとして、古い順に「プリント羽タグ」「刺繍羽タグ(縦長)」「四角犬タグ」「半円犬タグ」「現行タグ」などがあり、それぞれ使用されていた年代が異なります。詳しくは本文中の「タグの変遷」をご覧ください。
- Qレッドウィングのブーツ内側にある「刻印」やスタンプから年代はわかりますか?
- A
はい、刻印やスタンプも年代判別の重要な手がかりになります。特にタン裏にある4桁の数字は製造年月(例:04 11 → 2011年4月など。ただし、読み方には諸説あります)を示している場合があります。また、安全靴規格を示す「ANSI刻印」(PT83、PT91、PT99など)も、その規格が有効だった年代を特定するのに役立ちます。サイズ表記のフォントや形式も年代によって変化が見られます。
- Qレッドウィングの「品番(型番)」だけで年代を特定することはできますか?
- A
品番だけで正確な製造年代を特定することは基本的に困難です。同じ品番でも長年にわたって製造され、その間にタグやディテールが変更されていることが多いためです。ただし、その品番がいつ頃からいつ頃まで製造されていたかという大まかな期間を知ることは、年代を絞り込む上での参考情報にはなります。
- Qレッドウィングの「製造年月日」を正確に知る方法はありますか?
- A
最も直接的なのは、タン裏などに打刻されている4桁の数字(月/年 または 週/年)を確認することです。
例えば「04 11」なら「2011年4月製造」と解釈されることが多いですが、この読み方や表記の有無はモデルや年代によって異なり、確実な公式情報がないため注意が必要です。刻印がない場合や判読不能な場合は、タグや他のディテールからおおよその年代を推測することになります。
まとめ
今回は、レッドウィングの製造年代を正確に見分けるためのポイントを「タグ」「刻印」「ディテール」「モデル別特徴」といった切り口から網羅的に解説しました。
とくに重要なのはタグの変遷であり、これを起点に刻印やステッチワーク、ソールの仕様などを組み合わせて総合的に判断することが、精度の高い年代特定につながります。
また、人気モデルであるアイリッシュセッター(875、877など)のように、年代ごとの仕様変更が明確なシリーズは、比較的判別しやすく、価値判断の目安にもなります。
レッドウィングのブーツは、ただの「靴」ではなく、時代を超えて受け継がれてきた機能美と歴史の詰まったプロダクトです。今回のガイドを通して、ご自身の一足にどんな背景があるのかを知るきっかけとなれば幸いです。
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LIFE店舗案内
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- 2025年3月30日 【スタッフブログ須田編】アメカジ専門バイヤーがレッドウィングの2025年最新買取相場をご紹介!
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